ロシアvsベラルーシ

年末から何となく興味を持って眺めてたけど、どんどん凄いことになってる。
発端はロシアが天然ガス供給価格の大幅値上げを要求したことか。
http://www.cnn.co.jp/business/CNN200701010007.html

ガスプロムは、ベラルーシのパイプライン事業会社ベルトランガスの一部買収を求めるとと共に、認められた場合、ベラルーシへのガス供給価格を当初提案の1000立方メートル当たり200ドルから同130─140ドルに引き下げる考えを明らかにしていた。現在の価格は同47ドル。

ただ、ロシア側が支払う天然ガスベラルーシ領内の通過料がほぼ2倍になった。

47ドルから200ドルってのも凄いし、パイプライン事業会社を一部買収した上で130−140ドルってのも凄い。道理も何も無いと思っちゃうけど法律的には何も間違ったことしてないんだろうな。結局この時点ではベラルーシが後者の案を受け入れて交渉期限ギリギリで妥結。
で、ここで話が終わるのかと思ったら続きがあった。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20070104-OHT1T00156.htm

 ベラルーシはロシアからの天然ガス輸入で昨年末、大幅値上げを受け入れたばかり。ロシアはベラルーシへの石油輸出でも今年から1トン当たり約180ドルの輸出関税を上乗せすると通告しており、今回の関税導入は対抗措置といえる。
 一方、ロシア国営のパイプライン企業「トランスネフチ」幹部は、ベラルーシには欧州向けのロシア産石油に関税を課す権限はないと反論。両国間の新たな「石油紛争」が長期化すれば、ロシアから欧州への石油輸出に影響する恐れがある。
 ロシアのプーチン政権は最近、ベラルーシからの砂糖輸入も事実上停止。これまで旧ソ連圏内の友好国として連邦国家創設でも合意した両国関係は冷却化の一途をたどる可能性が強い。

地味に砂糖輸入も停止してたのか。
やりたい放題のロシアというかプーチン帝。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070104id21.htm

しかし、ルカシェンコ大統領は3日、ロシアからの天然ガス輸入価格の大幅値上げについて「我々を満足させるものではない」と強い不満を表明。さらに、「オイルマネーに沸くロシアが我々に犠牲を強いるのなら、我々もロシアにきちんと代金を支払わせよう」と述べ、軍事施設の使用料をはじめロシアに無料で提供してきたすべての優遇措置の廃止を通告するよう政府に命じたことを明らかにした。

さすがにここまでやられたらベラルーシもぶちきれ。
だけど対するロシアが黙ってるわけがない。
http://www.asahi.com/international/update/0109/009.html

トランスネフチはロイター通信に対して「ベラルーシが不法な関税名目で石油を抜き取っているため、その分パイプラインへの石油供給を減量している」と説明した。

 ベラルーシ側は先に、ロシアが天然ガス価格を値上げしたのに対抗して1月から同国内を通過するロシア産石油に1トンあたり45ドル(約5300円)の関税をかける方針を一方的に表明していた。ロシア側が支払いを拒否したため、相当分の石油の現物を差し押さえた可能性があると見られる。トランスネフチは、6日以降7万9000トンの石油が抜き取られたとしている。

ウクライナの時と同じく、パイプラインを止めるロシア。法的には一方的に条件を突きつけたベラルーシに非がありそうだけど、そこに至るまでの流れを見るとベラルーシには同情を禁じえない面がある。彼我の戦力差がここまで大きくなかったら戦争が起きててもおかしくないと思う。まあここまで大きいからこそできる無茶をやってるんだろうけど。
朝日新聞の記事の最後でドイツ首相が「この数年エネルギー供給問題が繰り返されている。法的な防御措置、契約の保証が必要だ」と語ってるけど、今のいけいけどんどんなロシアと買い手の双方が満足のいく結果を得るのは難しいだろうな。
ここまで書いてようやく疑問に思えたんだけど、天然ガスにはNY原油みたいな指標は無いの? あるけど、それとは関係なくロシアが値段を設定できる? 分からないな。