「男鹿和雄展」見てきた

ジブリの絵職人 男鹿和雄展−トトロの森を描いた人。
とりあえずトトロの巨樹の絵が見れればいいやって程度のつもりで行ってきたんだけど、とんでもなく面白かった。
まず最初のコーナーから『侍ジャイアンツ』『ガンバの大冒険』『はだしのゲン』等など、あれにもこれにも参加してたのかというような有名な作品の背景画が展示されてて、その時点でハートがわし掴みされました。個人的にはガンバがこのコーナーMVP。そして次のジブリコーナーの手前にメイが落ちていったトトロの部屋が再現されててちょっと感動。中に入らせて欲しかった。
続いてジブリコーナートップは『となりのトトロ』。何気ないように見える絵でも、その場面がしっかり浮かんでくる。1枚1枚細部まで丁寧に描かれていて、ほんの数秒間のためにディテールに凝るさまにちょっと狂気じみたものを感じたりもしたり*1。実際に使用された背景画と、その下地となる美術ボード*2が並んで展示されてたりするんだけど、その段階から映画に使えるんじゃないかってぐらい完成度が高いのも驚き。
その後も『魔女の宅急便』〜『紅の豚』と参加した作品の絵が展示されてるんだけど、とにかく1から10まで妥協ってものが見当たらない。魔女宅の森の絵を見た時、あまりにも生々しくて、確実にこの奥に世界が広がってる…って印象を受けた。
おもひでぽろぽろ』の山形駅の絵なんかも、遠めに見たときは一瞬写真の中にキャラクターを写しこんでるのかとか思ったぐらいリアルだった。架空の村の鳥瞰図のようなものもあって、ここまで凝るのかと。知らないだけで当たり前のことなのかもしれんけど。
耳をすませば』からは、タイトルバックの街の夜景と、地球屋から見える街の風景、最後に聖司が雫に見せた街の風景等など。地球屋の中も信じられないような凝り具合で、改めて驚くことしきり。ちょこんとバロンがいて遊び心を感じたり。
平成狸合戦ぽんぽこ』は、「作品の世界にあわせてそれまでと作風を少し変えて云々」といったようなことが描いてたんだけど、それまでと同じく素晴らしい絵の数々。一番気に入ったのは狸が荒れた故郷を目の当たりにして驚いてるといった風な図。実際にどういった場面だったのかは忘れたんだけど、あの狸も男鹿さんが描いたんだろうか。
もののけ姫』もやっぱり細部の凝り様に感動しきり。苔の生えた岩とか、屋久島で見た岩そのものだったし。最初に出てくる里は白神山地でのロケハンが参考になったってことで、これは改めて行かなければって気になった*3
千と千尋の神隠し』は何が一番感動したって、絵が赤くないこと(爆)。絵はそれまでと同じで当たり前に凄いんだけど、劇場公開以来何年かぶりに赤くない千と千尋を見てちょっと感動したというか笑った。
ゲド戦記』からも展示されてるのを見て、あの映画を見たときに背景すらしょぼいと思ったから意外だった。実際にじっくりと見ても、そこまで感じ入ることがなかったのは偏見か?
ハウルの動く城』からは城の入り口、ハウルの家と周囲の湿原、そして戦争の風景等など。1つ前のコーナーのはだしのゲンと、3つ目のコーナーの第二楽章と合わせて考えるといろいろと考えさせられるものがある。
その3つ目のコーナーはジブリを離れて以降のもの。確かにこれだけの人となれば放っとくはずがないよな。じっくり見たかったけど、展示終了時間も迫ってたんで早々に引き上げて3階へ。「折り紙でトトロを作ろう!」なるコーナーがあって挑戦したけど、いまいち上手く折れなかった。むしろ、なんで皆さんあんな簡略な説明図だけであんなに上手に折れるのか不思議。お土産コーナーでは物欲を刺激されるも、何とかこらえて退散。と、そういうわけで最後は駆け足だったけど、楽しい展示でした。始まってすぐ見に来てたらもう1,2回くらい来てたかも。それくらい楽しめる展示でした。

*1:だってあんた、お父さんの部屋に山積みになってる本の1冊1冊にタイトルが入ってたりするんですよ?

*2:preliminary imageと言ったほうがニュアンスは分かり易いな

*3:気になったといえば、あの3本の木が組み合わさって作られてる見張りやぐらは力学的にありえるんだろうか。