『帝国オーケストラ』&『ベルリン・フィルと子どもたち』

ベルリンフィルハーモニックオーケストラの来し方と行く末にまつわる映画2本を立て続けに見てきた。

帝国オーケストラ

ナチスのオーケストラ”と呼ばれたベルリン・フィルハーモニー管弦楽団ヒトラー政権時に一時国営化され、プロパガンダに利用されることになる。退団したユダヤ人メンバーのことや、ナチスの党員だった数人のメンバーのこと。そして外国への慰問演奏会などについて、当時の楽団員が貴重な証言をする。(シネマトゥデイ

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tydt/id331413/

当時の楽団員やその子供たちの証言、そしてさまざまな映像から感じられるのは戦争と言うものの醜悪さ。ユダヤ系の演奏者が迫害を逃れて「亡命」した下りで、その演奏者の子供と当時の楽団員とで意見が食い違うさまは強烈だった。政治に無頓着だった彼らを責めるのは容易いけど、同じ立場に立っていたとして、刃向えば最悪殺されるような状況で誰が何を出来たんだろうか。
終戦後の下りで出てきた「非ナチ化」なんて言葉は初めて知った。考えてみればドイツどころか日本の戦中戦後の詳細ってのもろくに知らないんだよな。
フルトヴェングラーとかチェリビダッケとか錚々たる名前も出てくるんだけど、一番興味をひかれたのはシモン・ゴールドベルクなる人。音源があれば聞いてみたい。

ベルリン・フィルと子どもたち

ベルリン・フィルの指揮者兼芸術監督に就任したサー・サイモン・ラトルは、さまざまな境遇の子供たちがバレエを踊る教育プロジェクトを新たに発足。クラシックに縁がなく練習に身が入らなかった彼らが、振付師ロイストン・マルドゥームの熱い指導のもとバレエ「春の祭典」に挑む。(シネマトゥデイ

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tydt/id321424/

最初は斜に構えてる子供たちが徐々に徐々に真剣に向き合っていく様に胸を打たれる。多感な時期にこういうプロジェクトに関われるってのは幸せなことだなぁとちょっと羨ましくも感じたり。まあ自分には耐えられないような境遇をくぐり抜けてきてるのだけど。
子供たちが練習に取り組んでる様子と並行してサイモン・ラトルが音楽に関する考察を語ってるんだけど、それがまた面白かった。ちと調べてみたら公式サイトに全部掲載されてるんだね。豪気と言うかなんというか有り難い。

英国では顕著なようだけれど、これまで以上に学校が芸術を教育の手段として重視し始めた。他者とどう付き合うか、共同作業はどう行なうか、感情をどう表現するか等を教えるのに芸術を用いるんだ。特に十代はいろいろな感情が内面から湧き出てきているのに、それをどう表現したら良いか分からず破裂しそうになってるだろう、“魂のにきび”って言ったらいいのかな(笑)。芸術は全ての物事に信じられない程の影響力を持つんだ。何かを癒すだけでなく、他のものを学ぶ手助けにもなるんだ。

http://www.cetera.co.jp/library/rattle.html