クラブワールドカップ:G大阪 3-5 マンチェスターU

FCWC垂れ幕

会場に着くとアルアハリアデレードの後半途中。試合中は頼むから延長戦にならないでくれと思ってたらつつがなく1-0で試合終了。
それから本日のメインマッチまで時間があったので、スタジアムの周りをぐるりと一周。ユニホームを着込んだガンバのサポーターを見て、彼らにとって歴史的な一戦を前に感じているであろうドキドキ*1を想像して羨ましくなった。アビスパのサポーターが感じるドキドキ*2と何と違うことか。
座席に戻るとほどなくして両チームの選手が登場。名前を挙げたらキリが無いマンU錚々たるメンツを見てさすがにテンションが上がった。試合前だってのにC.ロナウドがFK練習するだけでスタジアム中から大歓声だった。まあ自分もその一部だったんだけど。その後、J2で見かける報道陣との差に驚きながらキックオフの笛を聴く。

前半

序盤はガンバのペース。この一戦にかける意気込みが伝わってくるような試合への入り方だった。対する、マンUは時差ボケの眠気まなこをこすりながら試合に入ってる感じ。それでも最終ラインできっちり防いでほぼ危ない形を作らせない辺りはさすがだった。
深くボールを追いかけないマンUと遠藤をボランチに下げて攻撃の組み立てを任せたガンバの作戦がかみ合って、見ている方としては面白い試合展開だった。遠藤の縦パスに播戸が会心のトラップから抜け出した場面は本当に惜しかったな。あれが決まってればと思うけど、あれを決めさせないからマンUなんだわね。

0-1

その後はC.ロナウドが得意の高速またぎを見せたり、ビディッチが安田のクロスを胸トラップでファンデルサールに戻したり、余裕綽々な小憎らしさを発揮。ピッチに根っこが生えたように、当たられても倒れないテベスとかも見てて面白かった。そして試合が動いたのは28分。ギグスのCKからビディッチが頭でズドン。一応体を寄せてたけど、全く気にしてなかったね。ファーガソンがベンチから出て手を叩いたのはこの時だけかな?

0-2

で、試合が動いたけど、それまでと同じようなペースで進行。細かいパスをつないで前線に運ぼうとするガンバと、それを余裕を持って跳ね返すマンU。良いところにボールを送ったり、時には自分が飛び出してラストパスを送ったり、遠藤のプレーはいつにもまして冴えてたように思う。
そして迎えた前半ロスタイム。ここは絶対0-1で終わって欲しい…と思ってたらあれよあれよという間にCK。嫌な予感がするなと思ったらロナウドが頭でズドン。試合後者ぶりを遺憾なく発揮してくれた。

後半

前半と同じような展開で、手探りで攻撃を続けるガンバとそれを跳ね返すマンU。遠藤の素晴らしいFKがあったけど、ファンデルサールがそれを上回る素晴らしいセービング。スコールズのミドルは一瞬ゾクッとしたけどやや宇宙開発。そんな膠着した状況を動かそうとしたのか、リードしてるファーガソンが次々と交代のカードを切る。2人交代したところで、ルーニーパク・チソンの2択なら一応凱旋ってことでパクかな。なんだかんだで見たいんだけどなぁとか思ってたらルーニー投入。

1-2,1-3

その直後だった。遠藤→橋本と繋いで山崎が値千金、1点差に追いつくゴール。今日の自分は第三者なんだぜとか思ってたけど、めちゃくちゃテンションが上がった。もしかしたら…とほんの一瞬だけど、夢を見れた。楽しく、短い夢だった。その間30秒。交代で入ったばかりのルーニーが後方から来たパスに体を上手く入れて、DFをかわして落ち着いてゴール。正直中澤のミスかなと思わないでもないけど、決して簡単じゃないはずなんだよね。それをいとも簡単に決めてみせる辺りは流石だった。

1-4,1-5

失点の仕方としては最悪なだけに、気落ちしても仕方ないかなと思ったけど、ガンバは自分たちのスタイルを貫く。そして、遠藤のあわやというミドルシュートをこれまたファンデルサールがスーパーセーブ。その後こぼれ球につめたけど、G.ネヴィルが決めさせない。
そしてそのゴールまで数センチというプレーの直後、相手を崩すお手本のようなプレーからエブラのクロスにフレッチャーが頭で合わせてゴール。さらにルーニーがこの日2点目。

2-5,3-5

本気になった世界の強さを実感して気が遠くなりそうだったけど、ガンバはそれでも自分たちのスタイルを貫く。パスをつないで攻め上がり、ピンチには体を投げ出してこれ以上失点はしまいと死守。見てて胸が熱くなるようなサッカーをしてくれた。
そして38分。播戸のクロスが相手のハンドを誘ってPK。蹴るのはもちろん遠藤。スタジアムの期待が高まる中、遠藤の放ったグラウンダーのシュート*3ファンデルサールの手をかすめてネットに突き刺さる。2点目。試合の大勢からすれば小さな1点だけど、偉大な1点。しかし試合はこれだけでは終わらない。ロスタイム、やや集中を欠いたマンUのプレーからボールを奪って橋本がゴール。常に前がかりの姿勢が生んだ3点目。

総評

マンUは省エネに徹したような内容で、それは前半に顕著だったけど、1点差に詰め寄られてからの5分はプレミアで見せる本来の姿だった。
対するガンバは、実力差を鑑みれば、マンUの本気を引き出しただけでも凄かった。持てる力を出し尽くして2点差に詰め寄ったことに関しては何と言えばいいのか分からない。結果的には肉を切って骨を断たれたけど、ガンバ大阪ここにありという姿は心に焼きついた。実力差が大きな課題として残ってるのは厳然たる事実なんだけど、それでもあの戦いぶりを見て何も感じない人間は黙って寝てなさいって話だね。ドイツで戦ったというか、ドイツに行った日本代表には最後まで見れなかったものを見せてくれたようで、サッカーを見てて久しく感じられなかった爽快感を感じた。とはいえ、ガンバは日本代表ではなくあくまでもガンバ。サポーターが試合の前より何倍も何十倍も羨ましかったな。福岡があんな舞台に立てるのはいつの日か。
G大阪フラッグ

*1:期待と不安が入り混じった高揚

*2:いつクラブが潰れるんだろうという心配

*3:コロコロでない