はやぶさ/HAYABUSA

本当なら遠出してISSを撮りに行く予定だったんですが、あいにくの曇り後雨。というわけで公開日に見たきりになっていたはやぶさを見てきました。といっても大方の場所は昨日で上映終了なのでネットで調べてちょうど良い時間に上映していた亀有MOVIXへ*1。観客は2,30人はいたでしょうか。ちょっとしたギャグへの反応が良くてその点も楽しかったんですが、一見さんなのかリピーターさんなのか気になるとこです。
映画『はやぶさ/HAYABUSA』はやぶさ2打ち上げ記念!2014.11.21ブルーレイ&DVDリリース

2003年に飛び立ち、小惑星イトカワからサンプルの採取に成功した小惑星探査機「はやぶさ」の挑戦を描いた壮大なドラマ。7年に及ぶプロジェクトの中で、装置の故障や燃料漏れなどの危機を乗り越え、宇宙科学研究所JAXA)のスタッフが偉業を成し遂げる姿を描く。若い研究生を演じるのは、『いま、会いにゆきます』の竹内結子。彼女をスカウトする上司を、『釣りバカ日誌』シリーズの西田敏行が演じる。監督は、『20世紀少年』シリーズの堤幸彦。幾多の困難を乗り越え、世界初の偉業を成し遂げた「はやぶさ」とJAXAの物語に、胸が熱くなる。

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id339914/

完コピを目指したという監督の言葉にたがわず、はやぶさにまつわるありとあらゆるエピソードがてんこ盛りになってました。はやぶさが何を目指して造られたのか、構想から完成に至るまでの道のり、打ち上げ前の漁業交渉、のぞみの火星軌道投入断念、そしてはやぶさ自体の苦難の旅路。それに加えて主人公水沢恵の成長物語。中にはこれだけコピーしておきながら主人公が架空の人物なのかという意見も見かけますが、モデルとなった人物はいるし、彼女を通して科学者の立ち位置の難しさなどもよく描けていたのではないかなと思います。
何と言っても素晴らしかったのは、はやぶさを載せたM-V5号機の打ち上げ。映画館の大画面と音響で見る打ち上げは映像で再現できる上限なんじゃないでしょうか。この場面だけで元は取れたと言っても過言じゃないでしょう。家で同じレベルの音響とか用意するのは無理ですしね。
あえて粗を探すと、これだけ詰め込んでるからさすがにお腹いっぱいかつ、一つ一つのエピソードが薄くなってしまったかなと。これだけ盛り込むならミネルバの件も入れて欲しかったんですが、映画の流れ的に差し挟むのは難しいんでしょうかねぇ…*2。中には何でもかんでもコピーしたことで、はやぶさについて報道されていることしか知らない人には意図がつかめないシーンもあったと思います。その最たるものが川口先生も先日の講演で語っていた、はやぶさが行方不明になった際に佐野史郎がポットにお湯を注いでる場面。川口先生がチームの士気を落とすまいとしていたことを知っていれば、こんな細かい話まで入れるのかと楽しめるんですが何の説明も無いので事前知識がなければポカーンとなってしまうかも。
逆に言うと、知ってれば楽しめるネタだらけでした。はやぶさ帰還時の相模原の様子もあの場所にいた人間としては嬉しかったなぁ。段ボールではやぶさのコスプレしてたおっさんとかよく取材したもんだなと思いますよほんと。細かい点を突っ込むと、階段の上はジャーナリストの人しか入れなかったはずだけど、最終的には開放したのかな?帰還のまさにその時は別室にいたので分かりませんが。。。って思い出したら泣けてきたぞ。
とまれ、個人的には総じて満足度の高い作品でした。来年に公開を控えた2本もそれぞれの視点で楽しめればいいなと思います。

はやぶさがしゃべる演出」

ひとつ触れておくべきだろうなと。

はやぶさ帰還は日本中が熱狂した一大イベントだった。なぜ映画はコケてしまったのか。映画批評家前田有一氏はこういう。
「『プロジェクトX』のような重厚な人間ドラマを期待していましたが、まったくの期待外れ。突貫工事で映画を作ったため、全体的に作りが粗いのです。そもそも竹内の役柄は架空のオリジナルキャラで、はやぶさ帰還とは関係がない。いてもいなくてもいい存在という設定だからガックリです。しかも、無理にコミカルに演じようとして失敗している。もう一つ、唖然としたのは、CGのはやぶさがアニメ声で“僕は今ここにいるよ”“なんだか力が出なくなっちゃった。みんなの声が聞きたいよ”なんてふうにしゃべり出したこと。せっかくの美談が漫画チックな駄作になってしまいました」

"はやぶさ"打ち切りは時間の問題 - ライブドアニュース

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ゲンダイと2chのコラボに釣られる人がごろごろいて何と言うか切ないです。twitterでリアルタイム検索かけた時も中々に酷かったなぁ。というか今月に入ってからもまんまと釣られてる人がいるってどういうことよorz
404 File Not Found | 宇宙科学研究所
これを事前に知っていれば「はやぶさの声」はその朗読というか、劇中で冒険日誌を描いている水沢の心の声というのが自明なんですがね。今日はそのあたりを意識して見てきました。確かに少し説明が足りなかったかなとは思いますが、前提を知らない人でも水沢が絵を描いてる場面やその声から絵本の朗読に近いということが分かるんじゃないかな?仮にも映画評論家を名乗るならこんな勘違いはしないで欲しいです。まあ見た上で間違いを振りまくのは自分の恥をさらしてるだけで勝手にしてくれよという感じですが、それに乗っかって見もせずに罵詈雑言を並べるのはね…
ちなみに、2chの映画作品板のはやぶさスレを見ると、この評論家の話自体元ネタがあるのではないかという意見も。

18 :名無シネマ@上映中:2011/10/28(金) 16:32:55.51 ID:5h96EmF0
前田有一って映画批評家(笑)たぶん、中山ってオバハンのレビューを真に受けちゃったんだと思われ。
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竹内結子演じるヒロインが、とりわけ何かをしたというワケではないので、話は弱い。なのではやぶさが宇宙に飛んでからというもの、急にははやぶさが語り出し、状況を説明するという強引な手に出る。なのではやぶさが宇宙に飛んでからというもの、急にはやぶさが語り出し、状況を説明するという強引な手に出る。はやぶさにしゃべらせるとは大胆で大笑いしたが、
物語の視点がブレまくりだ。いやしかし、この後2作に与えた影響は責任重大ですゾ。
(中山治美)

http://toki.2ch.net/test/read.cgi/cinema/1319725629/18

http://www.47news.jp/topics/entertainment/2011/09/post_4350.php
駄目な人が一人か二人かの違いなんですが、それが影響力のある人というのは困りものです。映画評論家とか映画ジャーナリストとか名乗るなら最低限読解力のある人であって欲しいですね。

*1:どうでもいいんだけど、東京に長年住んでいながら亀有行くの初めてです。

*2:どうでもいいんだけど、道半ばで倒れてしまった人の奥さんと娘がやたら美人でどうやってつかまえたのかも気になりました。