近くて遠い星

フォボス・グルント。フォボスの土壌を採取して地球に持ち帰るというミッション。楽しみにしていたんですが…

カザフスタンのバイコヌール(Baikonur)宇宙基地からモスクワ(Moscow)時間9日午前0時16分(日本時間同5時16分)に打ち上げられたロシアの火星探査機「フォボス・グルント(Phobos-Grunt)」が、火星へ向かう惑星間軌道に乗ることができず、地球周回軌道で立ち往生していると、ロシア連邦宇宙庁(Roscosmos)が発表した。

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2839789/8053416

3日〜2週間?リカバリーのチャンスはあるようですが、出だしでのつまずきはあかつきが金星軌道投入に失敗して以来のガッカリ感だなぁ。しかも落下の可能性もあるとか。

9日未明に打ち上げ後、地球周回軌道にとどまっているロシアの火星探査機「フォボス・グルント」と同機が搭載している中国初の同「蛍火1号」について、ロシアの宇宙関係者は同日、火星への進路変更に失敗した場合、機体の一部が地球上に墜落する可能性があると語った。
 インタファクス通信が伝えた。同関係者は「探査機は低軌道を5〜10日間周回し、速度が落ちて大気圏に突入する公算が大きい」と指摘。機体は計12.5トンもあり、大気圏で全部燃え尽きない恐れがあるとした。
 落下地点の特定は現時点で困難としながらも、北緯52度〜南緯52度の範囲が想定されるとしている。

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011110901040

しかしソ連時代から火星探査はまさに失敗の歴史だったんですね。
火星探査機 - Wikipedia

打ち上げ失敗など
命名無し - 1960年10月10日
命名無し - 1960年10月14日
命名無し - 1962年10月24日打ち上げ、地球軌道上で爆発。
命名無し - 1962年11月4日
命名無し - 1969年3月27日
命名無し - 1969年4月2日
コスモ419号 - 1971年5月10日

ゾンド計画
ゾンド2号 - 1964年11月30日打ち上げ、火星に向かうが通信途絶。

マルス計画 (Mars)
マルス1号 - 1962年11月1日打ち上げ、火星へ向かうが通信途絶。1963年6月19日に火星から 19万3000 kmを通過と推定。
マルス2号 - 1971年5月19日打ち上げ、11月27日にマリナー9号に次いで火星周回軌道に入る。着陸機を投下するが墜落。しかし火星に到達した最初の人工物となった。
マルス3号 - 1971年5月28日打ち上げ、12月2日に火星周回軌道に入る。着陸機を投下して初めて着陸に成功。しかし砂嵐が起こっており、着陸後20秒で通信途絶した。
マルス4号 - 1973年7月21日打ち上げ、火星周回軌道投入に失敗し、1974年2月1日に火星から 2200 kmを通過。
マルス5号 - 1973年7月25日打ち上げ、1974年2月12日に火星周回軌道に入るが、直後に通信途絶した。
マルス6号 - 1973年8月5日打ち上げ、1974年3月12日に火星周回軌道に入る。着陸機の軟着陸に成功したが1秒で通信途絶。
マルス7号 - 1973年8月9日打ち上げ、6号より早く1974年3月9日に火星に到達したが周回軌道投入に失敗。接近時に着陸機を投下したが、到達できなかった。

フォボス計画 (Phobos)
フォボス1号 - 1988年7月7日打ち上げ、火星に向かうが9月2日に通信途絶。
フォボス2号 - 1988年7月12日打ち上げ、1989年1月29日に火星周回軌道に入る。火星の太陽面の反対から酸素が流出していることを発見したが、衛星フォボスの調査はならず、3月27日に通信途絶。
マルス96 - 1996年11月16日打ち上げ失敗*1

過去18回の打ち上げで探査機が火星周回軌道に投入できたのが5回のみ。こう見ると日本がのぞみの1回だけで火星のそばまで行くことができたのは大したことだったような気がしてきます。もっともESAは着陸機こそ失敗したものの火星周回軌道へ投入しての観測は1回で成功させているんですが。
今月26日にはアメリカの火星探査機マーズ・サイエンス・ラボラトリ(キュリオシティ)が打ち上げ予定です。こちらはすんなりと行くことを願います。

*1:原子力電池積んでるのに地球に落下したんだとか。おそロシア