ポルトガルvsオランダ

壮絶な試合だった。
試合開始直後から両チームとも決勝戦を戦ってるかのようなフルスロットル状態。といっても、序盤はオランダがカイトにボールを集めて一方的に攻め立てる展開。ファン・ボメルの惜しいミドルもあったけど、個人的には相変わらず枠が捉えられないなぁなんて思ってた。んで、その激しさは守備にも表れてて、そのせいでオランダは序盤に2枚のイエローをもらってた。
7分。ボラルーズがC.ロナウドに悪質なキックをかましてイエロー。スパイクが完全に腿に入っててすっげー痛そうだったけど、とりあえずプレーは続行。でもそのロナウドにボールが渡ったりデコがちょっと触ったりしてからは、ポルトガルもオランダの攻撃を受け止めて反撃に出るようになった。
そして23分。デコがロナウドにボールを預けてライン際を上がる→ロナウドは一瞬奪われかけたボールをすぐに取り返してデコにリターン→デコがPA内のパウレタにグラウンダーのクロス→パウレタが落としたボールを中盤から駆け上がってきたマニシェが落ち着いて枠内にシュート。そしてポルトガルが先制。
その後、お互いにチャンスを築く拮抗した展開の中で、さっきのファウルで負傷してたロナウドがOUTシモンIN。ちょっと涙目になっててカワイソスだった。そして激しい展開の割には意外にもスコアが動かないまま前半ロスタイム。コスティーニャがどうってことのないクリアボールに手を出すという信じられないようなハンドで2枚目のイエローを貰って退場。退場直後に迎えた決定的なチャンスはファン・デル・サールの信じられないような超反応で防がれて、後半はどうなることやらと思いつつ前半終了。この時点での感想は、間違いなく今大会のトップ3に入る試合だなということ。
後半頭からポルトガルパウレタOUTペティIN。守備を整えるためといっても、余りに早すぎないかと思った。案の定、開始直後から攻めるオランダ、守るポルトガルという展開。今から思えば、オランダはこのときが一番得点できるチャンスだったかも。でも、あともう1・2手でポルトガルの守備を崩せるってところでファン・ボメルが精度の低いミドルを連発してポルトガルは命拾いしてた。
オランダは攻撃の枚数を増やして攻めてたけど、堅く守るポルトガルの守備は割れない。そうこうする内にボラルーズが2枚目のイエローで退場。10対10に。この辺りからがこの試合の本番だった。次から次へと出されるイエローカードは総計16枚。2枚貯まってのレッドカードは4枚。今から思えばイヴァノフ主審は前半から悪質なタックルにはイエローを出して試合を落ち着かせようとしてたんだろうけど、全てが裏目だった。
んでそういう情状酌量の余地も一応あるんだけど、ドロップボールから試合が再開した時にどちらのボールかはっきりさせないままだったのはアウト。あそこがこの試合をここまで荒れさせた決定的な要因だったな。あと、既に1枚イエローを受けたデコにそれほど悪質でもないことで遅延行為による2枚目のイエローを出したのも余計でしょう。最後はこの人の頭に血が昇ってたような感じだったな。
これで10対9でオランダが攻める展開。10人で次から次へとボールを回して攻めるオランダもさすがだけど、それ以上に9人でその攻撃を受けきってカウンターまでしてみせるポルトガルの方が一枚上手だったかな。一人ひとりが自分の役割をきっちりこなしてた。おかげでロッベンは右サイドのミゲルらの守備網にかかって左からの攻めは数えるほどだった。ファン・ペルシーも時々ファンタジックなことをやってたけど、ベルカンプ先生には及ばない。あと一歩というところまで迫りながらオランダは得点が奪えない。最終的にはジオが2枚目のイエローをもらって退場。9人対9人って野球かよと。でも退場になったデコとジオ+交代で退いたファン・ボメルが仲良さそうに話してたのは和んだな。そして試合は1−0のまま終了。この試合の見所は両チームの技術・体力を尽くした激しい攻撃とそれを受け止める守備もさることながら、イエローカードを乱発しまくった主審だった。あそこでドロップボールの処理を誤らなければ本当にもっと締まったいいゲームになったと思うんだよな。
で、勝ち上がったポルトガルだけど傷は深い。デコとコスティーニャが累積で出場停止。まあイングランドの今の体たらくを考えればデコ抜きでちょうどいいのかもしれない。
オランダは…残念だった。コクーのクロスバーを叩いたシュートが枠内に跳ね返ってれば別の結果だったろうな。ていうか、おそらく最後であろう大会で出場機会のないまま終わってしまったファン・ニステルローイがちょっとかわいそう。まあチーム自体は若い選手が多いから次の大会に期待だな。ていうかチーム内の不和が減ったのはいいんだけど、今度はメンタルな部分を鍛えたり汚いファウルを減らしたりしてほしいね。