『FLIGHT 666』

アイアン・メイデンが行ったツアー『SOMEWHERE BACK IN THE WORLD』ツアーに密着したドキュメンタリーフィルム。監督はサム・ダン。出世したもんだ。
詳しいことはこちらを参照されたし。

笑いあり涙あり考えさせられることあり。
一メイデンファンとして、最高だったという一語以外に何を言えばいいのかという映画だった。
ツアー最初の場所はメタル未開の地・インド。GLOBAL METALにも出てきたけど、待望のメジャーなメタルバンドによる初のライブとあって、熱狂のはるか上を行く盛り上がり。何万という客が一致して、この一夜にすべてをかけるというような熱気だった。
それはツアー中盤のコスタリカにも同じことが言えて、初めてのライブ、そして最後になるかもしれないとのことで、エルサルバドルホンジュラスニカラグアなど中米から大挙して押し寄せ、中には仕事を辞めてライブを見にきた人もいたらしい。
コロンビアでは軍による厳しい統制が垣間見え、度を越えたとしか思えないボディチェックの列は暴動寸前のように殺気立つ。終演後、ニコのスティックを拾ったカップルが感極まって泣いてた場面には思わずもらい泣きしてしまった。
体の162ヵ所にメイデンの刺青を入れ、歌詞を説教に引用するブラジルの神父。空港とホテルを埋め尽くすアルゼンチンのファン。20年以上前は歌詞が悪魔崇拝的として入国拒否されたチリでの歓迎ぶり。
総じて感じるのは、日本がいかに恵まれているかということ。GLOBAL METALの時にも感じたことだけど、メタルが聞けて当たり前にメイデンが来てくれることが世界から見ればどんなに異常なことなのか。改めて気づかせてくれる素晴らしい映画だった。彼らの音楽を聞かない人がこの映画を見たとき、どういう反応を返すか見てみたいな。