18きっぷの旅2010冬・2日目:500系の旅

先日の続きの様な一日。

米原

4時に起床してホテルを出ると町はまだ眠りの中。電車が車内を暖めようと頑張る音が響いていた。
高山駅・夜明け前

4時45分。始発の乗客は自分だけという貸し切り状態。車内の空気はひんやりしていた。
貸切

車窓はまだ暗く所々に人家の灯りが浮かんで見え、その瞬きの下一つ一つに物語があるのだなぁと思うと気が遠くなるというか夢見心地。早朝だもの。各駅表示だったけどいくつか駅をすっ飛ばしてたのは気のせいではなかったらしい。次の停車駅から人が乗り込んできて貸切終了。以降順調に乗客が増えていった。じゃなきゃこんな早朝に運行するはずもないさね。
そうこうするうちに夜明け。山間部だからして視界の大部分を山に遮られつつも移ろいゆく空の表情が堪能できた。
夜明け

さらに陽が昇ると朝もやが立ち込めて良い塩梅に。
朝の車窓

そして約24時間ぶりに岐阜に到着。昔は岐阜羽島が邪魔な県でしかなかったなぁ…と幼いころを振り返って心の中で謝る朝。
列車の安全運行を見守る信長公の背中が大きく見える。
信長公背中

ひとしきり駅前で時間を潰した後、米原行きの列車に乗って出発。関ケ原付近では雪が強く降っていたけど、混雑していたのでカメラを出せず。そもそもあまり車外を気にする余裕はなく、自分のお腹との戦いを強いられていた。

米原駅

母方の実家の新幹線での最寄駅で、子どもの頃に何度も利用していた駅。それが新幹線撮影のメッカとは。こんな形で訪れるとは何かの因縁か。ただの偶然か。そうか。
と益体も無いことを考えながら入場券を買って下りホームに。既に同じ目的の方々が何人かいて、そのほとんどが白い筒のレンズとか値段を聴くのも躊躇われるような大砲と見まがうようなレンズがくっついたカメラを持っていて、格の違いに圧倒されつつもやって来た一つ目の新幹線を撮影。JR東海が注力するN700系
N700

たっぷり10mは離れていても巨大な物体が時速200km超で駆け抜けていく際の迫力たるや腰が引けてしまうレベル。曇っていると新幹線に影が落ちることはないので良かったんだけど、シャッタースピードが遅すぎてもぶれてしまうので撮影条件的には厳しくなってしまう。最適なバランスを探りつつ本番に向けて練習。時にはちょうどすれ違うことも。
我ながら無駄に上手く撮れてしまったなぁと思った1枚。
交差

目当ての500系が来るまでひたすらホームで待っていたんだけど、これが寒くて仕方なかった。曇りは良いとして、雪まで振って来たのには参った。ホッカイロも温まるまで時間かかるし。風も少し吹いていて寒いのなんの。待合室に退避したかったけど、ホームには同業者が続々とやってきて、撮ろうと決めたポイントに入られてしまう恐れがあったので動くに動けず風邪をひくかと思った。
そんなどうでも良い葛藤と闘いながら待っていると、近くで撮影をしていた人(仮にAさん)と寒くて手ぶれしそうですね、皆さん凄い装備ですね、とかそんな会話に。
そしてついにやってきた500系
500-01

少年の考える夢の超特急をそのまま形にしたようなフォルム。他の追随を許さない圧倒的なカッコよさ。もう数瞬待てればと思わないでもないけどこれで良いのだ。
いつもなら上下1往復だけど、この日は上下1本ずつ増発されていて約10分後にもう1本上りが通過。
500-3

去り際にもう1枚。
500-4

500系が完全に視界から消えるまで見送った後、余韻に浸る間もなくAさんと在来線のホームへダッシュ。前夜に鉄道撮影地メモで確認したポイントで撮ろうと考えていたけど、浜松駅で綺麗に撮れるという話を聞いてご一緒することに。
米原を経って間もなくN700系と並走。

そして雪景色にさようなら。

浜松駅

大垣・豊橋と乗り継いで東海道線を東へ進むこと3時間ほどで浜松に到着。
米原ほど多くなかったものの、やはり撮影に来ている人が10人ほどいただろうか。上りホームで撮影していると、東京行きこだま入線のアナウンスが。一瞬ひやっとしたけど、時を同じくして500系がやってきた。
カーブを走る姿が美しい。
500-5

500-6

500-9

撮影を終えたあと、Aさんと別れを告げ浜松駅周辺をぶらり。朝から何も食べてなかったなぁとその土地らしいものを探したものの金欠だったし、そうそうゆっくりする時間もなかったのでフレッシュネスバーガーでケーキセット。何か間違ってしまった気がする。

東へ

浜松を出発した辺りでfmhtさんから何回か静岡の名産品に関してアドバイスを頂いたけど、タイミングが合わずに購入出来なかったのは残念だった。
愛野駅を通り過ぎた時は2006年にエコパで見た福岡と磐田の開幕戦を思い出して泣きそうに。なんでチームは崩壊したんだ。そういえばあの時は掛川花鳥園にも行って楽しかったな。写真はHDDクラッシュで全部消えちゃったけどね…とまあ関係無い話はともかく、こういう景色を見ると遠出するもんだなぁと思う。
光射す

静岡付近からようやく視界に富士山が出現。最大の見どころはまず由比〜興津間。海岸線を行く線路と道路と富士山が見える絶景ポイント。
由比〜興津

から少し外れてしまったのでまた行きたい。今度は歩こうかな。
そして富士川近辺。稜線が綺麗に見える言わずもがなのポイント。
富士川近辺02

山頂に少し雲がかかる程度で、先日同様に500系を撮りに来た時のことを思い出して、嬉しさ半分釈然としなさ半分。
もう少し時間が遅かったら茜に染まる富士山が見られたんだろうか。三島駅付近で完全に日が沈み、今頃西日本は部分日食にわいてるのかなと思うと若干の羨ましさが。中国等で見られたであろう金環日食に対しては若干どころじゃない羨ましさが。再来年は晴れて欲しい。

小田原駅

この時点でかなり疲労困憊。せっかくだから東京まで直行しよう美味しいラーメンでも食べよう…という誘惑に屈しかけたところ、ラストまでの日数を考えると中々来れるもんじゃないぞと下車。
最初は50mmで流し撮りを試してみたもののやはり物足りないということで、白川郷以来鞄の中で眠っていたシグマ18−55mmくんに最後の一働きをしてもらうことに。何度か失敗を重ねるにつれ、次第に追いかけ切れるようになってきた。そして目当ての500系通過。
500-10

500-11

東海道ラストランまであとわずか。頑張れ。
そして18−55mm。08年の札幌緊急登板以来ありがとう。お疲れさま。せっかくだから分解して構造を勉強してみようか。
などど心の中で呟きながら東京行きの電車に。計算してみると4時45分に出発してから最寄駅に到着するまでトータル約16時間ほどの旅路。電車に乗っていたのは12時間ほどで、残りの4時間もどこに行くでもなくひたすら駅の敷地で電車撮影という、さすがに鉄分過多だったかと思わないでもない一日だった。もう1回やれと言われたら…喜んでやるけどね!