晴れのち曇り/普通/mission complete

今朝はこの冬だか秋だか分からないこのところの中でひときわ寒く、遅くなる日の出に応じて空もきれいな色合いに染まっていた。
朝方、仕事中にヤフーのトップページを見ると、はやぶさの持ち帰った微粒子がイトカワのものと判明したというニュースが。一瞬フリーズした後、呼吸を落ちつけてクリックすると、微粒子が何個見つかったとかまだかかりそうだとかいう話ではなく、確かにはやぶさの持ち帰った微粒子がイトカワのものだと判明したというニュースだった。

 宇宙航空研究開発機構は16日、小惑星イトカワ」から帰還した探査機「はやぶさ」のカプセルに入っていた微粒子約1500個を調べた結果、ほぼすべてをイトカワの砂粒と確認したと発表した。小惑星の砂粒回収は世界初の快挙。今後の分析成果は、約46億年前に誕生した太陽系や地球の形成過程、生命の起源の解明に役立つことが期待される。
 開発責任者を務めた宇宙機構川口淳一郎教授は記者会見し、「7年間の飛行が本当に完結して良かった。信じられないくらい幸運だ」と話した。
 微粒子にはカンラン石や輝石などがあり、これら鉱物の割合や、含まれる鉄とマグネシウムの比率を調べた結果、地球の岩石ではなく隕石(いんせき)の特徴と一致。はやぶさイトカワ近くで観測した地表成分データとも整合した。宇宙機構は外部の有識者を交えた検討会で、10日にイトカワの砂粒と断定した。
 地球にほとんどなく、隕石に含まれる硫化鉄の結晶が見つかったことも決め手となった。分析チームの中村智樹東北大准教授は「隕石のふるさと(の大半)が小惑星であることが、これで確定した」と話した。カプセルには未開封の部分があり、宇宙機構は今月末にも内部を調べる。微粒子は来年1月をめどに大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)などで詳しく分析し、年代や生命につながる有機物の有無などを探る。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101116-00000027-jij-soci

思わず飛び上がらんばかりに喜んだけど仕事中というのを思い出していろいろと自重…しようにもしきれず、とりあえず一言呟かずにはいられなかった。太陽系の成り立ちについて、これから分かることと分からないことがどんどん増えていくんだろうなと思うと年甲斐もなくわくわくしてしまうから困る。
昼になってテレビでニュース映像を確認。川口先生が喜びの涙をこらえながら会見している様子を見て、思わずもらい泣きそうになった。計画を立ち上げてからここまでの道のりを慮るだけで、ぐっと来てしまうんだから、ご本人の心中はいかばかりや。
8月末のAtoZではやぶさ特集が組まれた時、こんなことを書いていた。

今日改めて頭から見直してみると、短い時間でしっかりまとまっていたなという印象に。ただ、その上で一つまだ不満を述べるとすれば、採点表に触れてくれなかったことかな。
まあ限られた尺の中でこれに触れるのも言い訳がましくなる恐れがあって痛し痒しなんだけど、サンプルの入手が絶対の目標というわけではないことをこの機会に周知して欲しかったなぁ、と。

http://d.hatena.ne.jp/amesuke/20100829/1283096880

イトカワのものが出てきませんでしたということになった時に叩かれたら嫌だなぁとか思ってたんだけど、こういう結果が出た今となっては失礼な杞憂だったw
それにしても、1年前の11月にイオンエンジンが停止してからのドラマといったら。絶望の淵からニコイチ運用で復活。再突入直前の地球撮影。華々しい最後。そしてサンプル入手。こんな映画があったとしたら、荒唐無稽と笑われていたであろう話が実現してしまった。というか、イトカワタッチダウンしたり、通信途絶から復活した時点で物語をはるかに超えているんだな。実現はすでにしていて、見事に完結したといったほうがニュアンスが近いか。
5年前、イトカワ到着直前にこの話を知った時はなんと無茶なことを考えるんだと、ぼんやりとすごいことをやってるもんだなぁとしか思わなかった。500点満点の採点表を知った時も、これは無理かな…と思った。それが見事に500点をとってしまうとは。。。総じて、あきらめずに粘り強くやりぬくということがどんなに大事かを教えてくれたように思う。ほんと、この1年ろくでもないニュースが多かった*1中で、このニュースが放つ輝きといったら。日本全国あまねく照らすには十分すぎるんじゃなかろうか。
おめでとう。ありがとう。何度となく使った言葉をまた繰り返す語彙の少なさが切なくなってしまうけど、でもそうとしか言いようがない。ミッションフルコンプリート、おめでとう。こうして貰った感動の分はできるだけお返ししたい。といっても個人にできることは署名やパブコメ、もし募集があれば献金に応じるぐらいのことしかできないんだけど、そういう個々の力もイオンエンジンのように束ねれば大きな力になると信じて、はやぶさ2はやぶさMk-II…と続いていけるように応援していきたい。最後にもう一言、本当にありがとう。

*1:とたいてい毎年思うんだけどまあそれはおいといて