雨のち晴れ/微妙/flyby

夜から降り出した雨が朝になっても残っていて、今朝は金星どころか空も見えず。なんとなく重々しい空気の中歩きつつ出社。そして今日も気がそぞろなまま作業をこなして11時に。相模原の会見場からいち早く情報を伝えてくれるジャーナリストの方のtweetを見ると始まる前から空気が重苦しく、もしや…と思ったら

この瞬間の落ち込みよう。可能性として頭の片隅にいれていたけど、いざ現実として突きつけられると堪えた。直後に7年後→6年後の再挑戦の可能性が明らかになって少し気が持ち直せたけど、ここまでが順調過ぎただけに落差が激しいというか。それでも救いなのは、はやぶさのおかげか、以前H-IIAが失敗した時なんかに比べると大手紙やテレビをはじめとするマスコミの論調が穏やかで、脊椎反射的に税金の無駄と叫ぶ声が少なくなったことかな。といっても実数を測ったわけじゃなく、なんとなくニュースやネット界隈を眺めた結果だけど。
ニュースといえば、フジテレビの「知りたがり」という番組は宇宙ネタを割と頻繁に報じていて、昨日からNHKを含む全局が海老蔵一色のニュースの中で今日もあかつきをメインに取り上げてくれていた。その解説者として金星大気を30年来研究しているという方が出ていて、その方がかけていたであろう期待を思うと自分のような部外者でさえ凹んでしまうんだから察するに余りある。願わくば6年後の再挑戦が実ってほしい。
そんな考えが頭の中をぐるぐる駆け巡る中、夕方には気でも紛らわすために月と火星と水星でも眺めよう…と高所に登ってみたらその方向だけ雲が出てるわ、心ここにあらずだったのかカメラの記録メディアは忘れるわと散々だった。そして夜8時半からの中村PMの会見ニコ生中継を拝見。昨日の会見からかなりの不安を抱えていたけど、同じ質問を何度も繰り返すといったようなことが減ってぐっと聞きやすい会見になっていた。何より、ニコ生の運営が応援のメッセージを中村PMに伝えてくれたことが嬉しかったな。こちらの自己満足でなく、少しでも励みになってるといいんだけど。。。

会見の後半、ニコニコ動画の亀松記者が 「現在ネット生中継させていただいています。これは質問ではありませんが、視聴者から中村先生がんばれ、"あかつき"もがんばれとのコメントが多数寄せられています」と発言。プロジェクトマネジャー中村正人教授はホッとしたような笑顔で「ありがとうございます」と返した。

http://news.nicovideo.jp/watch/nw13031

と、そういった感傷を抜きにすると、今後の見通しについて希望的観測も成り立つものの、やはり不安がの方が大きいと思ってしまった。逆噴射中のセーフホールドモードへの移行は原因を究明して修正できる範囲のエラーなのか。セラミックスラスタが無事なのか。6年間の運用中にクリティカルな太陽フレアは発生しないか。それがなくとも6年の歳月を乗り越えて観測用の機器は正常に作動するか。それらの機器が一時代前のものになってしまわないか。そして何より予算超過への理解が得られるか。しっかり原因を究明したうえで2機目を飛ばすのが一番手っ取り早い気もするけど、予算的に見れば今ある機体を運用すべきなのかな。一番まずいのはここでプログラムを打ち切ってしまうこと。はやぶさの成功もひてんやのぞみといった探査機が受け継いできたバトンがあったわけで、あかつきがここで得た経験を繋いで生かさないと、それこそ本当の意味で失敗に終わってしまう。あかつき自身が再挑戦するにせよ、別の探査機を飛ばすにせよ、ここでバトンを落とすようなことだけはしないでほしいと切に願う。

イカロスは木星の夢を見るか

IKAROSは、H-IIAロケットで種子島宇宙センターから打ち上げられ、惑星間軌道上にて太陽指向でスピン分離しました。数週間後には膜面の展開に成功し、薄膜太陽電池による太陽光発電を実現しました(ミニマムサクセスレベル)。2つの分離カメラでIKAROS全体の撮影も実施しました。膜面展開後、半年間でソーラーセイルによる加速・減速を確認し、膜面の方向を調整して軌道制御を実施します(フルサクセスレベル)。

http://www.jspec.jaxa.jp/activity/ikaros.html

フルサクセスおめでとう。
この成果が風化しないうちに次の走者がスタートしてほしいな、と。